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リスペクト?・・・
先日の休みに東京へ行ってきました。
銀座での講習が終わった後、同じく銀座で仕事をしていた友人と待ち合わせ一緒に遅めの昼飯を食べに。
ちょうど通りかかった『俺のイタリアン』にタイミングよく入れてラッキー。
この前は隣の『俺のフレンチ』には予約して行きました。
どちらも生演奏があり贅沢な気分で食事ができます。
予定外にも昼食に美味しいものにありつけて満足でした。
そして夜は別の友人と会う予定に。
ここ数年、毎年なんだかんで春先東京に行く機会が多く、その度ごとに懐かしい人たちに会っている。数年から二十数年ぶりの人まで。
意識してるわけではないのだがもう4~5年続けて毎年久しぶりの人に会ってる。
そして今回会う友人も十数年ぶり、
東京にいた頃の同じバイト先で妙にウマがあった。
・
・
・
彼は素行不良で高校の時に先生を殴り退学になった。
しかし性根を入れ替え、その後大検をとり、見事東京の中堅私大に合格。
英語が得意でそれまで独学で英語を勉強していた。
映画を観まくって自分なりに勉強したらしい。
映画を字幕なしで見られるレベルになるのにそう時間はかからなかった。
よく彼とは新宿の 通称 ”しょんべん横丁” で飲んでた。
お金がないというのもあったが好んでそこで飲んでいた。
その頃は洗いたてのまだ水滴のついた生ぬるいコップで飲むビールでもうまかった。
労働者の哀愁の背中。
あえてこういうところで飲むことでヘンな背伸びをしていたのかもしれない。
飲んだ後、いつも新宿コマの前に行き、彼は外人を見るなり誰彼かまわず話しかけていた。
「英語の実践練習」・・・だそうだ。
親に迷惑はかけたくないと大学もほぼ自力で通ってた彼に"留学"や"海外旅行"の選択肢はない。だから身近なとこで生の生活の中の英語を聞く。
すごいやつだ。なんだその行動力。
場所柄アヤシイ外人もいるのだが、彼はちょっと話しかけて怪しげならうまく話を切り上げてきてきた。
彼はボクシングジムにも通っていたのでまさにボクサーらしくヒット&アウェーだなと笑った。
やがて彼も就職の時期を迎える。
以前から好きな映画と英語を活かした仕事がしたい、と熱く語ってた彼は、
戸田奈津子さんのような映画の字幕の翻訳の仕事がしたいと言っていた。。
しかし字幕翻訳家へのなりかたが分からないと言う。私も知らない。
当時はネットなどない。そういう仕事の知り合いも居ない。
「映画の配給会社は?」
思いつくだけの会社に彼は手紙を出した。
全ての会社が"本年度の採用予定はなし"だった。
諦めて田舎へ帰ると言い出した彼に、
面接だけでもしてくれ、ともう1度手紙をだしてみろよ?と私。
私は所詮他人事w
ケンカになりながら文句を言いながらも最終的に彼は手紙をだした。
すると一社だけ会ってくれるという会社が。
しかし結果的にはやはり採用は見送られた。
「でもおかげでキッパリ諦めがついたよ」
その後彼は、洋書を扱う小さな出版社に入社した。
「和久井映見似なんだ」という彼女との結婚式に出席できないので、お祝いを持って行きがてら新宿で飲んだのが最後だった。
・
・
・
それから十数年・・・
差し出してきた彼の名刺には "取締役” と書かれてた。
和久井映見似の嫁さんとはうまくいってないらしく、判の押された離婚届を持ち歩かれているらしい。
子供は娘が二人。12歳で英検2級だそうだ。
「カエルの子はカエルだ」
「トンビがタカ、だろw」
そして一番驚いたのは彼は昨年から大学に通い出したということだ。
それも某国立大学のMBAコース!
MBA?「バスケなんかやってたっけ?」「それNBAね」
なんやらよく分からないが偉い社長さんやCEOやらの経歴で目にしたことがあるぞ。
授業から試験からレポートからすべて英語でやるらしい。
日本語でだっておそらく何言ってるのかわからないような内容だろうに。
なので周りはみな東大京大早慶卒の一流企業のエリートばかり。
「なんでオレが受かったんだろう?」しかも最年長。
内容も難しく、課題もハードらしく、ついて行けずに半分くらいは辞めてるらしい。
そんな中なんとかしがみついて頑張っている。
「人生の中でこんなに劣等感を味わったのは初めてだ」
というくらいほんとにつらいらしい。
100人以上を抱える上場会社の取締役があえて自らそんな思いしなくてもいいのだろうに。
そんな彼も唯一”同級生”のエリートたちに尊敬の眼差しで見られたことがある。
飲み会での席で、こんな酒を飲む人見たことない、とみんなに感心されたそうだ。浴びるほど飲んだらしい。今時のエリートはみんな酒をほとんど飲ま(め?)ないらしい。
そんなことでしか尊敬されない自分。 余計虚しい・・・w
「リスペクトされてぇな~」
今回彼が事あるごとに何度も繰り返し言っていた言葉。
誰に?何をそんなにリスペクトされたい?
12歳で英検2級の娘に?
離婚届を持ち歩かれてる和久井映見似の奥さんに?
それとも、
一流大卒の エリート"同級生” たちに?
順風満帆ではなく、大波小波かぶりながら困難な道も自分の力で切り開いてきた・・・
おまえの方がよっぽどリスペクトできるけどね。。。

帰り道、しらじらと明けてきた空とギンギラのネオンに照らされた上野公園の桜がミョーに綺麗でした。
(T)
銀座での講習が終わった後、同じく銀座で仕事をしていた友人と待ち合わせ一緒に遅めの昼飯を食べに。
ちょうど通りかかった『俺のイタリアン』にタイミングよく入れてラッキー。
この前は隣の『俺のフレンチ』には予約して行きました。
どちらも生演奏があり贅沢な気分で食事ができます。
予定外にも昼食に美味しいものにありつけて満足でした。
そして夜は別の友人と会う予定に。
ここ数年、毎年なんだかんで春先東京に行く機会が多く、その度ごとに懐かしい人たちに会っている。数年から二十数年ぶりの人まで。
意識してるわけではないのだがもう4~5年続けて毎年久しぶりの人に会ってる。
そして今回会う友人も十数年ぶり、
東京にいた頃の同じバイト先で妙にウマがあった。
・
・
・
彼は素行不良で高校の時に先生を殴り退学になった。
しかし性根を入れ替え、その後大検をとり、見事東京の中堅私大に合格。
英語が得意でそれまで独学で英語を勉強していた。
映画を観まくって自分なりに勉強したらしい。
映画を字幕なしで見られるレベルになるのにそう時間はかからなかった。
よく彼とは新宿の 通称 ”しょんべん横丁” で飲んでた。
お金がないというのもあったが好んでそこで飲んでいた。
その頃は洗いたてのまだ水滴のついた生ぬるいコップで飲むビールでもうまかった。
労働者の哀愁の背中。
あえてこういうところで飲むことでヘンな背伸びをしていたのかもしれない。
飲んだ後、いつも新宿コマの前に行き、彼は外人を見るなり誰彼かまわず話しかけていた。
「英語の実践練習」・・・だそうだ。
親に迷惑はかけたくないと大学もほぼ自力で通ってた彼に"留学"や"海外旅行"の選択肢はない。だから身近なとこで生の生活の中の英語を聞く。
すごいやつだ。なんだその行動力。
場所柄アヤシイ外人もいるのだが、彼はちょっと話しかけて怪しげならうまく話を切り上げてきてきた。
彼はボクシングジムにも通っていたのでまさにボクサーらしくヒット&アウェーだなと笑った。
やがて彼も就職の時期を迎える。
以前から好きな映画と英語を活かした仕事がしたい、と熱く語ってた彼は、
戸田奈津子さんのような映画の字幕の翻訳の仕事がしたいと言っていた。。
しかし字幕翻訳家へのなりかたが分からないと言う。私も知らない。
当時はネットなどない。そういう仕事の知り合いも居ない。
「映画の配給会社は?」
思いつくだけの会社に彼は手紙を出した。
全ての会社が"本年度の採用予定はなし"だった。
諦めて田舎へ帰ると言い出した彼に、
面接だけでもしてくれ、ともう1度手紙をだしてみろよ?と私。
私は所詮他人事w
ケンカになりながら文句を言いながらも最終的に彼は手紙をだした。
すると一社だけ会ってくれるという会社が。
しかし結果的にはやはり採用は見送られた。
「でもおかげでキッパリ諦めがついたよ」
その後彼は、洋書を扱う小さな出版社に入社した。
「和久井映見似なんだ」という彼女との結婚式に出席できないので、お祝いを持って行きがてら新宿で飲んだのが最後だった。
・
・
・
それから十数年・・・
差し出してきた彼の名刺には "取締役” と書かれてた。
和久井映見似の嫁さんとはうまくいってないらしく、判の押された離婚届を持ち歩かれているらしい。
子供は娘が二人。12歳で英検2級だそうだ。
「カエルの子はカエルだ」
「トンビがタカ、だろw」
そして一番驚いたのは彼は昨年から大学に通い出したということだ。
それも某国立大学のMBAコース!
MBA?「バスケなんかやってたっけ?」「それNBAね」
なんやらよく分からないが偉い社長さんやCEOやらの経歴で目にしたことがあるぞ。
授業から試験からレポートからすべて英語でやるらしい。
日本語でだっておそらく何言ってるのかわからないような内容だろうに。
なので周りはみな東大京大早慶卒の一流企業のエリートばかり。
「なんでオレが受かったんだろう?」しかも最年長。
内容も難しく、課題もハードらしく、ついて行けずに半分くらいは辞めてるらしい。
そんな中なんとかしがみついて頑張っている。
「人生の中でこんなに劣等感を味わったのは初めてだ」
というくらいほんとにつらいらしい。
100人以上を抱える上場会社の取締役があえて自らそんな思いしなくてもいいのだろうに。
そんな彼も唯一”同級生”のエリートたちに尊敬の眼差しで見られたことがある。
飲み会での席で、こんな酒を飲む人見たことない、とみんなに感心されたそうだ。浴びるほど飲んだらしい。今時のエリートはみんな酒をほとんど飲ま(め?)ないらしい。
そんなことでしか尊敬されない自分。 余計虚しい・・・w
「リスペクトされてぇな~」
今回彼が事あるごとに何度も繰り返し言っていた言葉。
誰に?何をそんなにリスペクトされたい?
12歳で英検2級の娘に?
離婚届を持ち歩かれてる和久井映見似の奥さんに?
それとも、
一流大卒の エリート"同級生” たちに?
順風満帆ではなく、大波小波かぶりながら困難な道も自分の力で切り開いてきた・・・
おまえの方がよっぽどリスペクトできるけどね。。。

帰り道、しらじらと明けてきた空とギンギラのネオンに照らされた上野公園の桜がミョーに綺麗でした。
(T)