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とある休日・・part2
前の文章書いていて思い出した話をひとつ。
数年前のお盆休み。
たしか関東方面に出掛けた帰りに『羽生パーキング』に立ち寄った時でした。
ちょうど家に連絡をすると甥っ子が二人遊びに来てるというので、なにかお土産でも買っていってあげようと物色。ここのPAは『鬼平犯科帳』の世界観をモチーフにしてるらしいので時代劇っぽい面白いものがいろいろある。
その中でもカタナの形を模して刃の部分がプラスティックの容器になっておりその中にアメちゃんだかチョコだかが入ってるお菓子があった。
お菓子といってもそのあと刀として遊べる様に40~50cm位の長さはある。
インパクトもあるしこれなら男の子二人にやれば確実にチャンバラを始める。
男兄弟がチャンバラを始めたあかつきには必ずどちらかに”痛い”のが入りそのうち本気のケンカがはじまるのは確定w。
それを酒の肴に見ながら飲んでやろう、と悪代官のようにほくそ笑んでいた。
その”カタナ様のお菓子”を2つ持ちながら、他におもしろいものがないか店内を探索していた。
すると目の前にクリクリ丸坊主頭にまっくろに日焼けした男の子が私をガン見している。小学校低学年くらいだろうか。
私と目が合うなり、
「うーっっ!おとながあんなの買ってるっっ〜!」と指差してきた。
そしてきびすを返すと大声で
「おかあさ〜んおかあさ〜ん、ちょっときて〜ちょっとっー」
お母さん面倒くさそうに登場「なにっ💢」
「おとながあんなもん持ってるよー」
最後まで言い終えるか否かというところでお母さんとっさにその子の体を半転させ背中を向けると同時に素早くその子の口をふさいだ・・・
が、マルコメくん、藤原喜明の返し技のようにいとも簡単にそれをすり抜け脱出していった。
・・・ふと我に返ると周りの人達はみな失笑してる。
自分の正面にいた人などは笑ってはいけないとうつむいて堪えているのだろうが、肩が震えている。
マルコメ響き渡るような大声で叫んでいたのでその辺にいた人みんなに注目されてたらしい・・・・
はっ恥ずかしい!。。。
「穴があったら入りたい」という言葉を実感中。
少し離れたとこで一緒に居た友人が他人のフリして腹抱えて笑ってるのが見えた。
でもなんで?なんか悪いことした?
たしかに改めて周りを見渡してみるとその”カタナ様の菓子”を持って歩いてるのは自分だけではある。
ん?もしかしてこれは大人が持ったり買ったりしていけないものなのか?
この商品の入っていた箱に注意書きかなんかあるのかまじまじと見てみたが、そんな断りは一言も書いてない。
うん間違ってない、いいんだいいんだ堂々としてれば・・・
しかし、である。
マルコメ地獄は続く。
あの声が聞こえてきた・・・・
「おねえちゃん、ねえちゃん、きてきて!」
こんどはお姉ちゃんらしい、、、、
マルコメに手を引っ張られて「なになに!?」と興味津々に楽しそうにやってきたのは小学校の中学年くらいの女の子。
マルちゃん4〜5メートルくらい離れた私がよ〜く見える位置をキープすると、私を指差しながら
「ほらほらほらっ!ねっ、おとななのにあんなのもってるでしょ。ふたつも。」
(だからマルコメ声大きいねん)
するとマルコメ、なにを思ったかお姉ちゃんの手を引っ張りながらトコトコトコと私の目の前までやってきた。
お、いよいよ直接対決!
マル「どうしてオトナのくせにそんなのもってるの?ほしいの?」
私「そ、そりゃぁこれカッコいいもん、大人だって欲しいよ」
ちょっと面喰らいながら答えた。
マルコメ「きゃはは」と笑う。
すると隣にいたお姉ちゃんが大人びた感じで、
「このひとは〜おウチに帰ると〜ちいさな子どもがいるんだよ、ふたりぃ。だからその子に買っていってあげるんだよ。」とマルコメを諭すように言った。
いいぞ、お姉ちゃん!かしこいぞお姉ちゃん!
マルコメ指を口にくわえ鼻水を垂らしたまま空間を見つめ5秒ほど考えていた。
<おとなのくせにこどものお菓子を欲しがってる=アホかこのおとな=おもろい>
から、お姉ちゃんの言葉により
<おとながこどものためにお菓子を買ってる=そんなんふつうやん=おもろない>
おそらく自分なりに理解したのだろう。
「こどもか」とつぶやくように言ったらプツッと興味がなくなったらしく、マルコメくん次の興味に向かって走り去っていった。
ほっとした。
お姉ちゃんに「ありがとね」と言うと得意気に鼻をふくらましながら照れ笑いで大きく頷いた。
レジへ会計に行く。
あの大声で一連の流れを見てたであろうレジのおねえさんが失笑していた。
もしかしたら笑顔だったのかもしれないが、被害妄想でもう失笑にしか見えなかった。
「袋にお入れしますか?」と聞かれ、
「がっちり見えない様にお願いします」と答えた。
<植田正治作品集より>
マルコメくんではありませんw
車に戻ると腹を抱えて笑っていた友人は先に戻っていた。
私が車内に入るなり何故かこんどは逆ギレし始めた。
「そんな人だとは思ってなかった」「見損なった」「昔はぜったい違った」「がっかりだ」
散々な言われよう。
いったい何が?理由を聞くと、
最初はこの”カタナ様のお菓子”を私が自分のリュックに「裸で刺して帰る」と言っていたのに、あんなことくらいでこんな隠すようにぐるぐる袋詰めにしてもらってくるなんて情けない、ということらしい。
”あんなことくらい”って?
めっちゃ恥ずかしかったんだぞ!
穴があったら本気で入りたかったんだぞ!
それに昔っからそんなヤツだったよw
ただただ気軽に”カタナ様のお菓子” を買っただけなのに・・・・
良かれと思って買っただけなのに・・・
踏んだり蹴ったり。。。
皆さんもカタナ様のお菓子を買う時は近くに潜む "マルコメX” に気をつけてください。。
(T)